開業すれば儲かると思ってたけど勤務医と比較してどれくらい違う?
開業医で儲からないのはどんな理由がある?
医師が開業して儲けたいと思っているのならば、開業するまでの準備段階が大切です。
自身の医院、クリニックが目指す目標や運営方針をしっかり定めて開業準備をしていかないと、せっかく開業してもリースの返済だけで利益が手元に残らない、という状況に陥ってしまいます。
この記事では、開業医が儲からない理由や儲かりやすい診療科目、開業医の必須のスキルについて解説しています。
この記事を読むと、開業するための事前準備の大切さや必須スキルが学べるので、開業医として成功する可能性が高くなります。
開業前の準備はしっかり計画を立てて、運営方針がぶれないように注意しましょう。
開業医が儲けるためには、医師としての能力だけでなく、経営スキルとやコミュニケーション力も重要です。
開業医が儲からない理由4つ
開業医が儲からない理由を解説します。主な理由は以下の4つです。
- 運営方針が定まっていない
- 経営スキルがない
- 開業地の医療ニーズと合っていない
- スタッフとの連携がとれていない
運営方針が定まっていない
自身の運営する医院やクリニックの運営方針が定まっていないと、開業医は儲かりません。
医療機関の運営方針は、自分が何を目標に、どのような医療を患者に提供したいのかを明確にするものです。
方針がぶれていると、徐々に自分は何を目的に開業したのかわからなくなり、用意しなくてもいい医療機器をリースしてしまったり、クリニックの内装も後で後悔することになりかねないからです。
開業前に、自分がどのような医療を提供したいのか、どのような患者をターゲットにするのかを明確にしておきましょう。
運営方針を定めることは、開業後の経営を成功させるために非常に重要です。
経営スキルがない
医師として優秀でも、経営スキルがないと儲からないのが開業医です。
開業する医師の多数が資金調達のために、リース会社からお金を借りることになります。
経営のことをまったく考えずに経営していると、結局リース分の返却が難しくなるからです。
医師として、自分の思うように診察できるのが開業医のメリットでもありますが、経営者としての目線も大切にしましょう。
また、1人でクリニックの経営はできないため、スタッフの採用や教育も必須です。
開業医で儲けるためには、自身のクリニック経営状況の把握し戦略を立て、スタッフをまとめるという経営者としての能力が必須です。
開業地の医療ニーズと合っていない
開業医が儲からない原因の一つに、開業する地域の医療のニーズとあっていない場合があります。
開業する場合は、その地の人口散布やニーズを確認し、その地域の求める医療を提供する必要があります。
その地域の医療ニーズに合っていない場合は集患力が弱く、収入が減少する可能性があるからです。
例えば、子どもの人口が少ない過疎地に小児科クリニックを開設する場合、集患率が悪く利益が少ない可能性があります。
また、開業する予定の近隣に同じ科のクリニックが多い場合、新たに開業しても患者の取り合いになり利益を上げるのは難しいでしょう。
開業前にその地域の医療ニーズを調べ、自身のクリニックが提供する診療内容がその地域の需要に合っているかを確認することが大切です。
スタッフとの連携がとれていない
スタッフとの連携がとれていないクリニックは、開業しても儲からない可能性が高いです。
医師の独りよがりの経営でスタッフとの連携がとれていないと、患者への対応が個々で違ったり、スムーズに業務が進まなくなります。
また、こうしたスタッフ間の連携ができていない事例が重なると、患者からクリニックへの不信感が生まれかねません。
スタッフとのコミュニケーションを密にし、共通の目標や運営方針を共有することで、スタッフ一丸となって取り組むことが大切です。
開業医と勤務医の違い
開業医と勤務医の違いについて、収入や、勤務形態、診察スタイルの違いについて解説します。
開業医と勤務医の収入の違い
一般的に開業医の収入は、勤務医の1.7倍と言われています。
平成22年度の資料なのでやや古いデータですが、現在でも状況は大きく変わっていないでしょう。
(参照:https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken12/iryouhoushu.html)
ただし、勤務医の収入は純粋に勤務先から支払われる給与のみであるのに対し、開業医の収入は事情が異なります。
開業医の収入は、クリニックの収入から経費や借入の返済額、従業員の給与を差し引いて手元に残るものが収入になるからです。
また、勤務医は安定して決まった金額が得られますが、開業医はクリニックを開けて仕事をしなければ収入はありません。
毎月の変動があるため、診療科目によっては少ない月が出てくる点にも注意が必要です。
勤務形態の違い
勤務医と開業医では勤務スタイルも異なります。
勤務医は病院側に雇用されているので、勤務時間や日数は契約上決まっており、自身で自由に変更することはできません。
診療方針やバイト等の副業についても、雇用する側のルールに従うことが基本となります。
また、医局に属した際の人間関係や長時間労働等、雇用されているがゆえの縛りがあります。
しかし、雇用されていれば安定して収入は得られ、自身の急病時には有休休暇が使えたり傷病手当金が出たりするのが勤務医の特徴です。
一方、開業医は自身で事業を行っているため、休日や勤務時間はある程度自身で決めることができます。
しかし、自身が急病で診察ができなかった場合、その分の収入も減ってしまうことになります。
開業医では大学医局にありがちな転勤や夜勤もなく、プライベートの時間を確保しやすい特徴があります。
診察スタイルの違い
大学病院や大きな病院での勤務医は、最先端の治療や珍しい症例の治療や手術等に関わることが多いです。
専門医取得や留学等にも積極的な病院もあり、医師としての専門的な技術や知識の取得には良い環境と言えます。
自分の専門分野を深く診ることになり、専門外の分野を診察することは少ないでしょう。
また、他科の医師や多くのコメディカルと関わりは必須であり、連携がとりやすいのも特徴です。
開業医は、主に自身が掲げた診療科目を診ることになりますが、結果的に幅広い科目を診察しています。
また、大病院のような珍しい症例や進行した疾患を継続してみることはあまりありません。
どちらかといえば軽症な患者を多く診察するのが開業医であり、大病院へ紹介するような症例を早期に発見することが大切です。
地域住民とコミュニケーションをとり、地域医療に貢献することが開業医の仕事スタイルであると言えます。
開業医の儲かる診療科目は?
開業医で儲かる診療科目と言われているのは、産婦人科です。次に眼科、整形外科と続きます。
産婦人科は特に、分娩や不妊治療を扱うクリニックは収入が多いです。
分娩を扱う場合、夜間や休日も対応するため診療報酬の点数が高くなる傾向があります。
また、不妊治療は自費診療の割合が高く、治療内容によって他科よりも収入が多くなることが多いです。
眼科の収入が多い理由は、日帰りの手術やコンタクトレンズ等を扱うことが多いためです。
また、眼科の手術は他科の手術と比べてスタッフも少なくて済み、1日に多くの手術をこなせることが高収入に繋がっているでしょう。
整形外科の開業医は、緊急の手術等が不要な比較的症状の安定している患者を診察することになります。
また、多くの患者を診察したりリハビリを行うことが高収入に繋がります。
整形外科の開業の場合、他科よりも借入資金が高くなることが多いので注意が必要です。
整形外科は、リハビリのためにクリニックを広く取る必要や、レントゲンや超音波治療器など、さまざまな診断やリハビリに必要な医療機器をそろえなければならないからです。
とはいえ、最初の支出は多くなりがちですが、整形外科も儲かる診療科目と言えるでしょう。
開業医が向いている人の特徴
開業医に向いている人の特徴は以下4つです。
- コミュニケーション能力がある
- 経営に興味がある
- 地域医療に貢献したい人
- 自己管理能力が高い
コミュニケーション能力がある
コミュニケーション能力は開業医に必須です。
開業医では、他のスタッフや近隣の医療機関とも連携をとることが必要になります。
他のスタッフとコミュニケーションが上手くとれていないと、自身のクリニックの運営を上手く回すことができません。
また、開業医は地域住民のかかりつけ医となることが、自身のクリニックの安定した経営には重要です。
医師としての能力はもちろん、患者とのコミュニケーションが上手くとれていないと患者は集まらないためです。
コミュニケーション能力は、勤務医よりも求められるのが開業医だと言って良いでしょう。
経営に興味がある
勤務医であれば雇用されているので、経営について深く考える必要はありません。
しかし、開業して儲けるためには、経営についても学ぶ必要があります。
開業資金を回収できなかったり、返済や従業員への給与の支払いのみでいっぱいいっぱいになり手元にお金が残らない事態に陥る可能性があるからです。
また、自身のクリニックを上手く運営するために、スタッフの育成やクリニックのコンセプトを理解してもらう必要があります。
そのため、院長である医師はリーダーシップやチームマネジメントのスキルも必要です。
医師としての技術や知見だけでなく、経営に興味のある人材が開業に向いていると言えます。
地域医療に貢献したい人
開業医は、最先端の治療や珍しい症例の手術をすることはありません。
地域の住民の求める医療を提供することが大切です。
開業医の主な役割は、地域医療に貢献することであり、地域住民のかかりつけ医となることだからです。
大掛かりや検査や大きな手術はできないけれど、地域住民のかかりつけ医となり患者に寄り添える医師が開業に向いていると言えます。
自己管理能力が高い
開業医は自身で業務を管理する必要があるため、自己管理能力が高い人も向いています。
勤務医のように、労働時間や労働日数、スケジュールは決まっていません。
自身の体調管理や、どのようなスケジュールで仕事をするのかをすべて決める必要があります。
一見、自由で楽なように思ますが、自己管理が甘いと自身が病気になり診察ができなくなるので注意が必要です。
診察ができないとその分クリニックの収入も減ってしまうためです。
自己管理能力が高くないと、開業して儲けることは難しいと言えます。
開業医が向いていない人の特徴
開業医が向いていない人の特徴は以下のようなものがあります。
- チームで仕事をすることが苦手
- リスクを取ることを嫌う
- 医療の仕事以外はしたくない
- 継続できない・長期的な目線が持てない
チームで仕事をすることが苦手
チームで仕事をすることが苦手であると、開業医は難しいでしょう。
病院ほど人数は多くなくても、開業していると同じクリニック内でほぼ毎日同じメンバーと顔を合わせて仕事をします。
チームで仕事をする意識がなく、1人で好き勝手に仕事をしているとスタッフ間の連携は取れず、皆の意識がバラバラになります。
こうなると、クリニックの経営も上手くいきません。
スタッフ皆がスムーズに働けるよう努力できる人でないと、開業での成功は難しいでしょう。
リスクを取ることを嫌う
開業するときは必ずリスクを取ることになります。
開業準備として診断用機器やレセコン、電子カルテ等多くの機器を用意するため、開業後は多額の出資金を返済しいく必要があるからです。
開業したとしても、クリニックの運営が軌道に乗るまでに時間のかかるかるので、一時的に金銭的なリスクを取ることになります。
また、勤務医は雇用が保障されていますが、開業医は患者が来なければ仕事を失う可能性があります。
開業医は、金銭的なリスクや雇用の不安定さのリスクを避けたい人に向いていないでしょう。
医療の仕事以外はしたくない
医療の仕事以外はしたくない、という医師も開業医には向いていないと言えます。
開業すると、医師としての仕事以外にたくさん仕事がありますが、事務を雇ってある程度任せることは可能です。
しかし、自身のクリニックの院長が医療の仕事以外はしない、というのは難しいでしょう。
医師の仕事以外にも興味がある人でないと、開業医として続かない可能性があります。
継続できない・長期的な目線が持てない
開業してもすぐに収入は入りません。診療報酬は、数ヶ月遅れて収入となるためです。
安定して収入が得られるようになるためには、長期的な目線で経営を考えることが必要です。
短期的に経営方針を変えていると、出資を必要以上に抑えようとしたり、スタッフとも上手く連携が取れなくなる可能性があります。
目先の利益ばかりを考えず、長期的に経営を考えられること、自身の経営方針をコロコロ変えずに継続して考えられることが重要です。
すぐにでも収入が欲しい、先行投資したくないと思っている場合は、開業医として向いていない可能性があります。
開業医として儲けたいなら経営者としての目線も持とう
ただ医師としての技術や知見を深めるだけでは、開業医として儲からないでしょう。
開業医では、経営やコミュニケーション力が重要なスキルです。
そのためには、開業する前の事前準備が最も大切になります。
どのように資金を準備するのか、運営方針はどうするのか、どのような機器をリースするのか。
また、行政の手続き等もあるため、開業医で儲けるのは簡単ではありません。
儲からない開業医のポイントを理解し、開業医として今後どのように医療に関わっていきたいかを考えましょう。