医師として働いていく中で、「自分は本当に医師に向いているのか」「仕事が忙しすぎてつらい」「違う仕事に挑戦してみたい」などと思うことがあるかもしれません。
医師が医師の仕事以外で転職をしようと考えた時に、どのような業種が考えられるのでしょうか。
今回は、医師が医師以外の仕事に転職したいと考える理由や、転職する際におすすめの仕事をご紹介します。
他業種への転職というものを考えた時に成功するためのポイントというものもありますので、ぜひ参考にしてみてください。
医師が医師以外の仕事に転職したいと考える理由
医師が臨床の仕事以外に就きたいと考えるきっかけ・理由というのは一体何なのでしょうか。
- 仕事内容と収入が見合っていないため
- キャリアアップ・セカンドキャリアのため
- 人の命を預かる精神的負担が大きいため
- ワークライフバランスの両立が難しいため
大きく分けると4つの理由があり、どれも医師ならではの理由です。
それぞれ解説していきます。
仕事内容と収入が見合っていないため
医師が転職を考える理由として考えられるのは、仕事内容と収入が見合っていないことが言えます。
仕事内容が大変なのは医師であれば考えられることですが、激務すぎる職場なのに収入が見合っていない場合は転職を考える医師も多くいるはずです。
激務なのに収入が少ないと仕事に対するモチベーションも上がりません。
医師の1週間当たりの勤務時間は60時間以上を超えていることが多く、労働時間も40歳以上の医師に比べて20~30代の医師の方が長いというのが現状です。
医師の仕事にやりがいを感じていたとしても、激務であり収入が見合っていない場合は転職を考えてしまう医師も多いのでしょう。
キャリアアップ・セカンドキャリアのため
キャリアアップやセカンドキャリアのために転職を考える医師も中にはいます。
将来、開業を目標としている医師は医師以外にもスキルを磨きたいと考える人もいるはずです。
医師の免許を持っていると有利な仕事も存在しているので、臨床現場から離れて自身のスキルアップにつなげたいと考える人もいるでしょう。
また、医師の仕事をしていながらも医療業界とは違う職種に興味を持つこともあるのではないでしょうか。
「医師免許を持っていても有利にはならないけど、人生において自分がやりたい」と思ったことにチャレンジすることは悪いことではありません。
さまざまな理由があって臨床の現場から離れた形の転職を考える医師もいるのです。
人の命を預かる精神的負担が大きいため
医師という仕事は、人の命を預かる非常に立派な仕事であると同時に、精神的な負担もかなり大きな職業であると言えます。
患者の命を預かるということは、少しのミスも許されず責任が大きな仕事です。
場合によっては患者本人や患者の家族から心無い言葉を投げられるかもしれません。
精神的な負担が大きく、心身ともに疲れ切ってしまうので転職を考える医師が多くいるのでしょう。
ワークライフバランスの両立が難しいため
人生において結婚・出産・育児など仕事以外にさまざまな転機が訪れるのは医師も同じです。
特に家庭や育児と仕事のバランスを取らなければならない人々にとっては、「ずっと仕事だけをする」ことは難しいかもしれません。
しかし、医師の仕事は労働拘束時間が長く、なかなかライフワークバランスをうまく保つことが難しいというのが事実です。
そんなときにライフワークバランスを改めて見直し、転職活動を始める医師は多数おり、医師以外への転職を考える人もいるのでしょう。
医師以外の他業種へ転職する際におすすめの仕事とは?
医師以外の他業種へ転職しようと考えた際、実際には医師免許を持っていればそこまで転職活動に困ることはないでしょう。
そこで、他業種へ転職する際におすすめの仕事をご紹介します。
- 製薬会社
- 医療サービス提供会社
- 産業医
- 公務員
- コンサル
- その他業種
意外にも臨床現場ではなくても転職先はさまざまです。
ひとつずつ説明していきます。
製薬会社
製薬会社というと「薬剤師の就職先」として選択される会社のイメージを持つかもしれません。
しかし、製薬会社にもメディカルドクターとして医学的な見地から業務に参加することができます。
「新薬の臨床試験の計画を作成する」「論文など文献の解析」「有害事象・副作用等の評価」などメディカルドクターには多くの仕事内容があるので需要があるのです。
ただ、臨床現場とは違った知識も必要となってくるので常に新しいことを身に着ける必要があるでしょう。
年収に関しては製薬会社や医師自身の年齢やスキルによって差はありますが、待遇は比較的恵まれている方です。
企業なので在宅勤務体制が整っている会社が多く、ライフワークバランスを重視する医師には向いている職業と言えるでしょう。
医療サービス提供会社
アプリをリリースするなどして医療サービスを提供する会社を起業する医師が増えているようです。
医師のスキルだけではアプリの開発は進めることができませんが、もし自身が開発に直接関わることを考えているのであればプログラミングなどのスキルも必須となってきます。
プログラミングなどの高スキルが必要な場合は、そういった技術に精通しているプロフェッショナルとタッグを組んで計画を進める医師もいるようです。
産業医
産業医と聞いてもピンとこない人もいるかもしれません。
産業医とは、労働者が快適な環境下で仕事ができるように専門的な立場から指導や助言を行う医師のことです。
全国で産業医の選任が必要な事業場は16万ヵ所以上あるといわれていますが、実働している産業医数は3万人程度と言われています。
企業側の産業医へのニーズは高いですが、認定産業医資格の取得がないと産業医として活躍することができません。
公務員
保健所や地方衛生研究所などの研究機関や省庁・都道府県庁などで働くことができます。
職場によって仕事内容は変わってきますが、業務にかかわる中で医師の免許だけではなく法律の知識も必要となってくるでしょう。
自治体によって待遇は変わり、勤務年数によって収入は上がってきますが、オンコールや当直がないので基本的には時間外勤務は存在しません。
公務員なので福利厚生も充実していて、且つ有休も取りやすいのでライフワークバランスを重視した医師は転職先として選択肢に入れておいても良いでしょう。
コンサル
医師の中でも、開業を目的とした人は経営コンサルタントとしてスキルがあると非常に有利であると言えます。
コンサルに転職すれば働きながら経営スキル・知識を身に着けることができるのでメリットがあるでしょう。
医師がコンサルとして働いていれば、クライアントに対して「医療業界に精通している人材がいる」という事実で信頼を得ることも可能です。
また、医師は地頭が良い人が多いので、仕事を円滑にできて即戦力になる人材が多いのも事実です。
その他業種
医師の資格を活かした他業種へ転職する医師も多いですが、まったく医師の仕事とは関係のない職種へ転職している人もいます。
医師と弁護士のダブルライセンスを持つ人もあれば、エンジニアとして働きたくて転職をした人もいます。
有名人でも、漫画家の手塚治虫は医師免許を持ちながらも漫画家として活躍しました。
医師免許を持っていても違う職業で成功するためには、努力も必要になってくるのです。
医師が医師以外の仕事で成功するためすることは?
では、医師の仕事以外で成功するためには努力以外にどんなことが必要なのでしょうか。
医師としてずっと働くつもりがあっても何が起こるか分かりません。
いざ医師以外の仕事をしたいと思ったときに、まずはどうすれば良いのかを解説します。
- 自己分析
- 企業・業種の情報収集
- 働き方を変える
- 転職エージェントへ相談
では、それぞれ説明していきます。
自己分析
医師から医師へ転職するにしても、医師から医師以外へ転職するにしても自己分析をするのは非常に大事なことです。
「自分は医師に向いていないのかもしれない」「他業種で働いてみたいかも」といったあやふやな理由で転職してしまうと後悔する可能性があります。
自分がどんなことができるのか・自分の強みは何なのかなどを一度ゆっくり考える機会が必要です。
自分自身を見つめることによって、どうして転職したいと考えているのかも明確になってくるでしょう。
もし他業種へ転職するとしても、自分の強みを分かっていれば仕事に活かせるはずです。
企業・業種の情報収集
転職したいと思っている企業や、その業界に関しての情報収集は転職活動をする中で必須と言えます。
自分が働きたいと思っている業界だからこそ、その業界の良い部分も悪い部分も知っておくべきでしょう。
もちろん、業界の事情を知っていれば転職活動の際にも有利になりますし、どの業界がこれから先拡大していく市場なのかを見極めることも出来ます。
また、悪い求人に引っかかることもないので情報収集をすることは大事なことと言えるでしょう。
採用する企業側も、医師だった人が自分たちの業界に入ってくることに疑問を持つ可能性もなくはありません。
自分たちの業界をどれだけ理解しているのかを知るポイントにもなりますし、それが採用のポイントにもなります。
近年では、応募を考えている企業の口コミをインターネットで調べることも出来るので、細かなリサーチもしておいた方が自分のためになるでしょう。
働き方を変える
現状で、「医師以外の仕事で転職はしたいけど、どんな業種にしたいかは決まっていない・特にない」という人もいるでしょう。
それならば、まずは現状の働き方を変えてみるのも良いかもしれません。
医師の働き方には、正社員勤務のほかにもスポット求人というものがあります。
スポット求人は臨床現場での仕事もありますが、学校や職場での健康診断の要員として募集されている求人です。
幸いにも医師という仕事はスポット求人だけでも生活がしていける仕事なので、スポット求人もしくは非常勤などの働き方で心機一転してみるのも良いかもしれません。
「今の仕事が辛いから」「医師以外の仕事がしてみたいかも」くらいの気持ちで医師という仕事を辞めると、後々後悔する可能性もあります。
ゆっくりでも良いと思うので、まずは働き方を変えて自分と向き合うのが良いでしょう。
転職エージェントへ相談
医師以外の仕事に転職を成功させる方法として、第三者である転職エージェントに相談するという方法もあります。
転職エージェントはその名の通り転職活動のプロなので、「このまま医師として仕事を続けても良いのか」「他業種にチャレンジしたい」という気持ちをしっかり理解してアドバイスをくれるはずです。
転職エージェントへ登録する際は複数の転職エージェントへ登録することをおすすめします。
複数の登録は面倒に感じてしまうかもしれませんが、転職エージェントにも得意分野・不得意分野というものがあるので、多方面から情報を得た方が良いでしょう。
転職エージェントの良し悪しは1つだけ登録しただけでは分かりません。
複数登録をして、比較した後に自分に合った転職エージェントを利用するのが良い結果に繋がるはずです。
医師の仕事を続けるメリット
医師以外の他業種へ転職したいと考える人もいるかもしれませんが、医師としての仕事を続けるメリットも当然あります。
- 医師しかできないやりがいを感じることができる
- 高収入である
医師として働くことは確かに大変かもしれませんが、人生においてメリットもあります。
2つのメリットをご紹介します。
医師しかできないやりがいを感じることができる
医師は、患者と直接向き合うことで病状の回復・命の誕生に立ち会うことができる唯一の仕事です。
患者の命を救うことができるのも医師の判断によるものです。
ITや美容、不動産などの職業は直接命のかかわる仕事ではありませんし、同じ医療業界でも患者と深くかかわる仕事はそこまで多くありません。
患者と直接深くかかわれる仕事は医師ならではであり、やりがいを感じることができるでしょう。
高収入である
医療業界は、ほかの業種と比べると比較的収入は高めに設定されていますが、医師の場合は世に存在する職業の中でも高収入の職業と言えます。
給与が低いと結婚や出産・育児の時の出費が圧迫されてしまい、結婚式をすることをあきらめたり、育児の際も子どもにさせてあげたいと思ったことができない可能性が高いです。
しかし、医師は高収入者が多いので余裕をもって生活を送ることができるでしょう。
子どもだけでなく、自分が何かやりたい・実現させたいと思ったときに実行できる財力を持てるのは医師であるメリットと言えます。
他業種に転職する際は自分としっかり向き合おう
医師として仕事を続けることはメリットがありますが、他業種への転職を希望しているのなら検討するのも良いでしょう。
その時は、まずしっかり時間をかけて自分と向き合うことが大切です。
転職は人生において大きな転機であり、他業種へ飛び込むとなると知っておくべき知識もたくさんあることでしょう。
「本当に医師ではない仕事がしたいのか」「どんな仕事をしたいのか」「医師のときより収入が減る可能性があるが良いのか」など、さまざまな可能性を考えて、他業種への転職を成功させてください。