医療機器データベースに必要な3つの性質|データベースの必要性も解説

医療機器

医療機器データベースに必要な3つの性質|データベースの必要性も解説
  • 医療機器データベースに重要なのはどんな性質?
  • 医療データベースと医療機器データベースは何が違う?
  • 医療機器データベースはなぜ必要とされているのか。

医療機器データベースは、医療機器を扱う上で必ず知っておくべきデータベースのシステムです。

医療機器データベースについて知らないと、医療機器の適切な管理やメンテナンスを十分に行えない可能性があります。

この記事では、医療機器データベースを構築する上で必要だと考えられている性質や、医療機器を扱う上で重要な医療機器データベースの必要性について説明しています。

この記事を読むことで、医療機器の取り扱いや管理に疑問が湧いた場合、適切に医療機器を扱うための情報を入手できるようになります。

また、適切な情報を得る手段がわかることで、医療機器の管理がスムーズに行えるようになります。

医療機器データベースには網羅性、精確性、迅速性の3つの性質が必要だと考えられています。

医療機器を多く扱う医療現場では、医療機器データベースは安全に医療を提供するために必須のシステムです。

医療機器データベースに必要だと考えられる3つの性質

医療機器データベースに必要だと考えられる3つの性質

 

医療機器データベースに必要だと考えられている性質は主に以下の3つがあります。

  • 網羅性
  • 精確性
  • 迅速性

網羅性

医療機器データベースに必要な性質の一つとして、さまざまな種類の医療機器が含まれていることが挙げられます。

つまり、さまざまな種類の医療機器が存在していますが、すべてを網羅する必要があるということです。

医療従事者が知っておくべき情報が含まれているかどうかが、医療機器データベースには非常に重要になります。

医療機器データベースに必要な情報が含まれていない場合、適切な医療機器を選択することができなくなるからです。

例えば、医療機器の概要だけでなく、以下のような項目の情報も必要になります。

  • 使用方法
  • 保守方法
  • 副作用
  • 注意事項

また、最新の医療機器情報に更新されていることも重要です。医療機器は常に改良や開発が進んでいるため、最新の情報を収集することが必須だからです。

最新の情報を反映していないデータベースは、医療従事者が最適な医療機器を選択できない可能性があります。

医療機器データベースの網羅性は、医療現場での患者の安全性を確保するために極めて重要であると考えられます。

精確性

医療機器データベースは、情報の精確性も非常に重要です。

万一、精確な情報を得ることができない場合、医療機器の誤使用につながる可能性があるからです。

医療機器の誤使用は患者に深刻な影響を与える可能性があります。

医薬品のように人体の中に作用するものは少ないですが、医療機器でも必ず精確な情報が必要です。

以下のような例は、精確な医療機器情報が必要となります。

  • 患者個人により適切な医療機器の選択
  • 適切な保守方法の確認
  • 医療機器の改良点の把握

医療の現場では医薬品だけでなく、医療機器においても精確な情報かどうかが非常に重要になります。

医療機器データベースに収集されている精確な情報は、医療現場での患者の安全性を確保するために極めて重要であると言えます。

迅速性

迅速性も、医療機器データベースでは重要な要素だと考えられます。

医療機器を扱う医療従事者は、必要な情報を迅速に入手することが求められます。

医療情報は常に最新でないと、医療現場では活用できません。

医薬品はもちろん、医療機器は常に改良や開発が進んでいます。

そのため、常に最新の医薬品や医療機器情報を収集することは、医療従事者にとって必要な仕事です。

迅速に最新の情報を反映していないデータベースは、医療従事者が最適な医療機器を選択することを妨げる原因になります。

医療機器データベースへ迅速に検索やアクセスができない場合、医療従事者の業務効率が低下する可能性があるからです。

医療機器データベースの迅速性は網羅性、精確性と並んで、医療現場で患者の安全性を確保するために極めて重要だと言えるでしょう。

医療データベースと医療機器データベース

 

医療データベースと医療機器データベース

医療機器データベースとよく似た言葉に、医療データベースがあります。

ここでは、医療データベースと医療機器データベース、それぞれの概要を確認します。

医療データベースの概要

医療データベースとは、全国の医療機関から集められた医療情報を統合し、まとめて保存しているデータベースのことを指します。

このように膨大な量のデータを集約して、医療現場に活用するためのシステムが医療データベースです。

医療情報のデータベースの活用は国際的に進められています。

現在、日本でも製品情報及び安全性に関する情報のデータベースの活用が推進されています。

医療データベースは例えば、以下のような種類があります。

  • 病院や薬局が保険請求に必要なデータ、健康保険のデータ
  • 患者の診療情報のデータ、電子カルテやオーダリング等の医療機器に関するデータ、画像診断、検査値のデータ
  • 調剤薬局での薬歴データ
  • 有害事象自発報告データ

我が国では、平成23年度より「医療情報データベース基盤整備事業」を開始し、より医療機関で医療データベースには、膨大で多様な情報が集約されています。

このデータベースを活用することで、医薬品等のリスクや安全性評価を効率的に行うことが可能です。

なぜならば、少人数の副作用や症例だけでは、公平に正く評価ができないからです。

つまり、副作用の報告や医薬品の安全性評価を行うためには大規模なデータが必要となります。

また、米国や欧州では数千万人規模のデータベースを利用し、医薬品の安全性評価に活用しています。

医療データベースは、医療の現場で正く事例を評価するために必要不可欠なシステムです。

医療機器データベースの概要

医療機器データベースは、医療機関で使用されている医療機器の情報を管理するためのデータベースのことです。

このデータベースを活用することで、医療機器について正確で最新の情報を入手することが可能です。

例えば、医療機器データベースでは以下のような項目が確認できます。

  • 医療機器の製品名や型番
  • 使用目的
  • 使用方法
  • 副作用
  • 注意事項
  • 点検やメンテナンス

また、医療機器の取り扱いについてや保管方法などの情報も掲載されています。

これらの情報は、医療機器の適切な管理や保守に役立つでしょう。

医療機器データベースに情報が登録されたあと、医療機関や卸会社からデータベースにアクセスできるようになります。

登録された情報はダウンロードして閲覧可能であり、診察に活用できるようになります。

患者の治療に必要な医療機器の選択や、安全性を確保するためにも、医療機データベースは非常に重要な役割を果たしていると言えるでしょう。

また、医療機器データベースは医療機関の情報システムの一部として構築されることが多く、データベースには医療従事者が簡単にアクセスできるようになっています。

医療機器データベースの活用

医療機器データベースの活用

医療機器データベースを活用するためにはさまざまな情報を把握する必要があります。

例えば以下のような情報です。

  • 医療機器データベースは販売前に登録する
  • 医療機器データベースに含まれる情報
  • 医療機器データの管理は誰が行うのか
  • 医療機器データベースの重要性

医療機器データベースは販売前に登録する

現在の日本では医療機器を販売する前に、医療機器販売業者が医療機器データベースを登録するよう求められています。

医療機器の販売前にデータベースに登録することで、実際の現場にデータベースを活かすことができるからです。

医療機器データベースに製品を登録すると、その医療機器にどのような性能があり、どのように扱えるかをデータベースを通して閲覧可能となります。

つまり、販売前に医療機器データベースに登録されることによって販売業者や卸業者、医療機関にてデータが確認可能となります。

我が国では、流通の効率化や医療安全の向上等を目的として「医療機器等へのバーコード表示の実施について」の実施要項が平成20年にとりまとめられています。

それにより、医療機器や体外診断用医薬品、医療用医薬品を除く医療機器以外の消耗材料を販売する企業は、医療機器等のバーコード表示や医療機器データベースへのデータ登録を求められています。

医療機器データベースに含まれる情報

まず、医療機器は医療機器や医療機械、体外診断用医薬品、その他と4つに分類が可能です。

医療機器の分類後には、それぞれの項目に合わせ、各項目を登録します。

医療機器データベースを登録する際には、主に以下のような項目を登録する必要があります。

  • 償還価格(特定保険医療材料)
  • 梱包
  • 購入時の最小購入単位
  • 最小出荷単位
  • JANコード
  • JMDNコード

登録項目は255項目であり、そのうち必須項目は17項目とされています。

登録項目については多く感じますが、これは医療機器データベースの網羅性、精確性をカバーするためと言えるでしょう。

また、任意の項目で国内総販売元業者名などが明記されています。

なお、医療機器のデータベースへの登録は医療機器製造販売業者が行います。

医療機器データの管理は誰が行うのか

収集された医療機器のデータ管理は、上記の網羅性、精確性、迅速性の性質に加え、安全性についても非常に重要です。

医療機器データベースに登録後、収集された医療機器データの管理は、財団法人医療情報システム開発センター(MEDIS-DC)が行なっています。

また他に医療機器データベースには、日本医療機器産業連合会など複数の企業や団体が関わっています。

医療機器データベースの重要性

網羅性、精確性、迅速を網羅した医療機器の情報を収集して取りまとめたデータベースは、医療機器を扱う医療現場では非常に重要です。

これらのデータベースは医療機器の使用や効果に関する情報を収集し、安全性や効果を分析するためにも使用されるからです。

医療機器の効果を正確に評価することは、その機器を使用する医療従事者や患者にとって重要です。

医療機器データベースには、さまざまなな種類の医療機器の使用に関する詳細なデータが多量に含まれています。

これらのデータを分析することにより、医療機器の効果や安全性を公平に評価が可能です。

医療機データベースの構築

医療機器データベースの構築

医療機器データベース運用の開始は、20年以上前にまで遡ります。

平成12年、医療材料データベースの構築が開始。

平成17年には薬事法(現薬機法)の改正があり、医療機器データベースの構築がなされました。

当時の医療機器データベースの構築には、日本医療機器産業連合会の協力のもと行われています。

現在では、医療機器データベースは、一般財団法人 医療情報システム開発センター(MEDIS-DC)が、データベースの管理・運用を行なっています。

医療機器データベースについてよくある質問

医療機器データベースについてよくある質問

医療機器データベースについてよくある質問を紹介します。

医療機器データベースの運用元は?

医療機器データベースの運用元は、一般財団法人 医療情報システム開発センター(MEDIS-DC)です。

医療機器データベースにはどのようなメリットがあるのか。

医療機器データベースのメリットとして、医療機器の性能や安全性を効率的に評価できる可能性があることが挙げられます。

医療機器データベースは、多様で数多くの医療機器データを収集できるからです。

医療機器データベースを収集し、分析することで医療機器の適切な管理や保守、安全性の評価等につながります。

医療機器データベースは安全な医療提供のために必須

医療機器データベースは安全な医療提供のために必須

医療機器データベースは、医療機関で使用されている医療機器の情報を管理するためのデータベースです。

医療機器に関するさまざまな情報を収集し、分析することで医療機器の使用による効果、安全性を公平に評価することが可能です。

つまり、医療機器データベースは患者にとって直接関係ないように感じますが、安全で安心した医療を受けるために非常に重要なシステムであると言えます。

医療機器データベースは、患者の治療に適切な医療機器の選択、管理やメンテナンスにも関わるためです。

また、今後このような医療機器データベースは新しい医療機器の発展につながっていくでしょう。

医療機器販売メーカーや医療を提供する医療機関、そして患者にとっても重要であるのが、医療機器データベースと言えます。

(参考:厚生労働省資料 医療機器データベースについて

関連記事