フリーランス麻酔科医への道:働き方から将来性についても解説!

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フリーランス麻酔科医の働き方から将来性

「麻酔科医は独立できる?」「フリーランスの麻酔科医の需要はある?」など、麻酔科医が独立してフリーランスになることを考えた際に、気になる点は多いのではないでしょうか。
麻酔科医は、フリーランスという働き方が向いている診療科です。麻酔科医が不足しているため、フリーランスの麻酔科医の需要は高く、多くの医療機関が求めています。

本記事では、麻酔科医の独立の方法やフリーランスの給与事情などについて徹底解説します。また、フリーランス麻酔科医の将来性についても解説しています。
独立してフリーランスになるか悩んでいる麻酔科医は、ぜひ最後までお読みください。

麻酔科医の独立は開業?フリーランス?

麻酔科医の独立は開業?フリーランス?

麻酔科医が独立を考えた際に、開業するか、フリーランスになるか悩むことでしょう。もちろん、麻酔科医もフリーランスだけでなく、開業の選択もすることができます。しかし、医師の中でも、麻酔科医はフリーランスに向いている診療科の一つです。診療科によってはフリーランスの選択が困難な診療科もあります。

そこで、麻酔科医がフリーランスが向いている理由について説明していきます。また、開業とフリーランスそれぞれの働き方と、独立する際に必要な資格についても解説していきます。

麻酔科医がフリーランスに向いている理由

麻酔科医は、手術を受ける患者に対して、麻酔をかけることが主な業務になります。外科医のように、外来から患者やその家族と信頼関係を築き診療する、術後から退院まで受け持つといったことを行いません。つまり、手術が終了すると、業務が終了となります。このように、手術中以外に患者を診療することがないのが麻酔科医の業務の特徴です。つまり、外科などの診療科と異なり、患者を受け持つことがないため、フリーランスになりやすい業務形態をしています。

さらに、中小規模の病院では週に3日〜4日しか手術日がない病院もあります。そのような状況では、常勤で麻酔科医を勤務させておく必要がありません。そのため、フリーランス麻酔科医のように、非常勤勤務の麻酔科医を雇う形をとるところも少なくありません。それに加え、慢性的な麻酔科不足があり、多くの医療施設から必要とされています。

したがって、非常勤務でも麻酔科医としてのスキルを発揮でき、病院側からも非常勤勤務が重宝される麻酔科医は、フリーランスに向いていると言えます。

麻酔科医の開業

麻酔科医が開業できるクリニックとして、ペインクリニックがあります。ペインクリニックとは、慢性的な痛みを緩和するための治療をおこなうクリニックです。
麻酔科医は手術時に、神経ブロックなどの痛みのコントロールを行います。その知識やスキルを活かし、慢性的な痛みに悩まされる患者さんに対して、治療を行います。

あまり知られていないペインクリニックですが、最近では徐々に注目されています。麻酔科医が独立を考えた際に、開業という選択肢も視野に入れることができます。

開業に関して詳しく知りたい方は、「開業医の1日のスケジュール・診療から経営業務まで徹底解説!」を参考にしてください。

麻酔科医のフリーランス

独立をした麻酔科医の多くが、フリーランスとして活躍しています。医学の進歩により、手術できる疾患が増えていることで、手術件数が増えている現状があります。しかし、麻酔科医は不足しており、多くの医療機関で麻酔科医を求めている現状があります。そのため、フリーランス麻酔科医の需要が増えています。
麻酔科医フリーランスとしての働き方は、同一施設で非常勤として勤務する、もしくは単発(スポット)で働くという選択肢があります。現在は、医師向けの求人サイトが増えているため、自分の希望にあった、非常勤や単発(スポット)の仕事を探しやすいです。
医師向け求人サイトをお探しの場合は、こちらを参考にしてください。

フリーランスになるために必要な資格

麻酔科医がフリーランスとして働く際には、医師免許以外の資格は必要ありません。しかし、麻酔科専門医を取得しておかなければ、仕事を見つけることができない場合があります。麻酔科専門医とは、日本麻酔科学会の認定資格です。資格取得には、麻酔科認定資格を取得後2年以上経過し、麻酔科認定病院での1年以上の勤務経験、および麻酔関連業務に従事している必要があります。
麻酔科専門医を取得することで、知識やスキルが証明されるため、仕事を見つけやすくなります。そのため、フリーランスの麻酔科医になることを考えている場合は、麻酔科専門医を取得しておくことがよいでしょう。

フリーランス麻酔科医の給与

フリーランス麻酔科医の給与

フリーランスの麻酔科医になった場合、常勤医のころと比べると、どのくらい給与の差があるのか気になるところでしょう。フリーランス麻酔科医の勤務形態は、非常勤やアルバイトになります。一般的な仕事であれば、非常勤やアルバイト勤務だけの場合、常勤に比べ低くなるイメージがあるでしょう。しかし、麻酔科医の場合、常勤の麻酔科医とフリーランスの麻酔科医の年収を比べると、フリーランス麻酔科医の方が、働き方によっては高くなります。
以下では、常勤麻酔科医の年収とフリーランス麻酔科医の年収、またフリーランスの麻酔科医が給与を上げる方法について解説していきます

常勤の麻酔科医の年収

労働政策研修・研修機構の「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によると、麻酔科医の平均年収は全体の第4位です。

 

診療科 平均年収
脳神経外科 1,466万円
産科・婦人科 1,466万円
外科 1,374万円
麻酔科医 1,335万円

麻酔科医は、高度で専門的な知識やスキルを必要であり、受容に対して麻酔科医が不足しているため、年収が高額になっています。

フリーランス麻酔科医の給与

フリーランス麻酔科医の給与の相場は、およそ時給1万円です。そのため、フリーランス麻酔科医が1日8時間勤務を週5日行うと、1週間の給与は、時給1万円×5日=40万円。1カ月は40万円×4週=160万円、1年は160万円×12カ月=1,920万円となります。つまり、年収1,920万円です。常勤の麻酔科医の年収と比べると、およそ585万円ほど高くなります。常勤で働くよりも、フリーランスとして働く方が年収が上がる可能性があります。

日給がさらに高い場合は、もっと高くなる可能性があります。しかし、どの程度働くかで異なるため、一概に常勤医より給与が高くなるとは言い難いところはあります。

フリーランス麻酔科医が給与を上げる方法

フリーランス麻酔科医は、自身の努力や働き方によって給与を上げることが可能です。それでは、どのような条件でフリーランス麻酔科医の給与が上がるのでしょうか。本項では、フリーランス麻酔科医が給与を上げる方法について解説していきます。

給与をあげる方法として、主に以下の3つがあります。

  • 専門医の資格を取得する
  • 紹介によって仕事をする
  • 安定して仕事をする

それぞれについて詳しく解説します。

専門医の資格を取得する

麻酔科医が不足しているため、他の診療科より高額な仕事をすることができます。さらに、前述したように、麻酔科専門医を取得することで、さらに高い時給の仕事を受けることが期待できます。地域などの差がありますが、時給が2〜3万円になる場合もあります。スキルや知識を専門医という資格で証明することで、単価の高い仕事を得ることが可能になります。

紹介によって仕事をする

知り合いからの紹介を増やすことで、条件の良い非常勤先を見つけることができます。同じ麻酔科医だけでなく、外科医など他の診療科と繋がりを持っておくことで、仕事を紹介してもらえることもあります。また、仕事ぶりが認められ、病院側から依頼してもらえまう。紹介の場合は、自分が希望する給与を提示する場合もあるので、交渉次第で給与を上げることが期待できます。

安定して仕事をする

仕事の依頼が安定しているところで働くことも、給与をあげるためのポイントです。手術件数が少ない病院は、手術があるときだけ依頼するということもあります。不定期な依頼だと、安定した給与をもらえない可能性があります。そのため、不定期な依頼を受けている場合、その他の日では依頼され安定している病院で働くなど、働き方を考えておくことをおすすめします。

フリーランス麻酔科医のやりがい

フリーランス麻酔科医のやりがい

麻酔科医の需要は高いため、現在ではフリーランスでも高額な給与を望むことができます。しかし、常勤とは異なり、安定性に不安を持つことがあるでしょう。
以下では、フリーランス麻酔科医の将来性についても解説しています。また、フリーランことでもことでもやりがいについてもまとめています。ぜひ、麻酔科医がフリーランスを検討する際の参考にしてください。

フリーランス麻酔科医の将来性

フリーランス麻酔科医の需要はこれからも十分に期待できます。手術をする医療機関にとって麻酔科医は必要不可欠です。手術が増加してるにも関わらず、麻酔科医が不足していることは、社会問題にもなっています。それに、中小規模の病院では毎日、手術を行なっていない医療機関もあります。そのため、麻酔科医を常勤として働いてもらうより、手術日だけ働いてもらうフリーランス麻酔科医の方が人件費を抑えることができます。

今後も、麻酔科医の常勤が多い大学病院など以外では、フリーランスの麻酔科医を求める傾向が強くなるでしょう。したがって、高い専門性を持つ麻酔科医は、フリーランスに転身しても将来性を心配する必要性は低いと考えられます。

自分の時間を確保できる

自分の希望する日数や時間を選択することができるのは、フリーランスの特徴です。常勤勤務であると、当直や夜勤、残業などを行う必要があり、自分の働く時間を決めることは難しいです。ところが、フリーランスの場合、契約時に週に4日しか働かない、残業をしないなど、決めることができます。そのため、長時間勤務や夜勤、オンコールなどの精神的・体力的ストレスを減らすことができます。

自分で働く時間を選択することができるため、フリーランスは子育て中の麻酔科医にも人気の働き方です。自分のライフスタイルによって働き方を変えることができるのは、フリーランス麻酔科医の大きな魅力でしょう。

人間関係に悩まない

フリーランス麻酔科医は、人間関係に悩むことが少なくなります。医局内での人間関係でや、看護師との関係で悩んだことがある医師は多いでしょう。

フリーランスでも外科医や看護師と関わることがあります。しかし、一定の距離を保ちながら、仕事をすることができます。組織に属することで人間関係に悩む必要がなくなるので、フリーランスになることで人間関係に関するストレスを減らすことができるでしょう。

麻酔科医がフリーランスになる前に知っておきたいポイント

麻酔科医がフリーランスになる前に

麻酔科医不足の中、麻酔科医のフリーランスの今後の活躍が期待されています。自由な時間が確保できる、年収が高くなるなど、麻酔科がフリーランスになるメリットはいくつもあります。しかし、メリットだけに目を向けていると、フリーランスとして働き続けることが困難になる可能性もあります。

フリーランスになる前に知っておくべきことについて、解説します。独立してフリーランスになることを考えている麻酔科医の方は、ぜひ参考にしてください。

週3日以上の勤務が必須

麻酔科の専門医を続けていくには、定期的な資格の更新を行わなければいけません。そのために、週3回は同じ施設で働く必要があります。「麻酔科専門医の要件は、週3回の同一施設勤務の義務化」が麻酔科専門医の更新条件です。

専門医はスキルや知識を証明するものでもあるため、フリーランスの麻酔科医は専門医を更新していくことが望ましいです。そのためには「スポット」だけで、好きな時間、好きな場所でずっと働くということは難しくなります。フリーランスの麻酔科医として働き続けていくために、専門医の更新条件に注意し、どのように働くかを選択するとよいでしょう。

さまざまな診療科を対応

手術といっても、さまざまな診療科の手術があります。そして、手術によって麻酔の方法も変わってきます。そのため、自分が関わったことがない診療科の麻酔を行わなければならないこともあります。
しかし、経験のない症例を行うことで、スキルアップに繋がります。さまざまな症例に対応できるスキルを見つけることができれば、フリーランス麻酔科医として、さらに仕事の幅も広げることが期待できます。

出張が多くなることも

勤務する医療機関によって、遠い場合には出張しなければなりません。フリーランス麻酔科医は、オンライン診療のような形態はとれず、かならず出向く必要があります。自宅近くに勤務先があるとは限らないので、通勤時間の負担を強いられることもあるでしょう。
しかし、どこで働くかは自分の選択しだいです。出張を好む麻酔科医は、遠い勤務地を選んで働くこともできますし、通勤時間をできるだけ短くしたい場合は、近場の医療機関だけで働くこともできます。自分のライフスタイルに合わせながら、どこで働くかを選択するとよいでしょう。

開業届を出す

フリーランス麻酔科医になると、開業届を出すことができます。開業届は義務ではなく任意でありますが、メリットがあるため、届出の提出を念頭におくことをおすすめします。
開業届を出すことで、確定申告時に青色申告ができるので節税対策になります。青色の確定申告では、業務に必要なパソコンの購入費などを経費として計上することが可能です。
フリーランス麻酔科医になり、収入が上がることで、収める税金が大きくなる可能性があります。青色申告をすることで白色申告に比べ、節税できるようになるので、開業届の提出を検討するのもよいでしょう。

フリーランス麻酔科医のきつい点

フリーランス麻酔科医のきつい点・デメリット

働き方を自分で調整することができ、年収が上がることを期待できるフリーランス麻酔科医。フリーランスになると、もちろん良い点だけではありません。
フリーランス麻酔科医のデメリットも知った上で、独立を選択しましょう。以下に、フリーランス麻酔科医のきつい点について、まとめています。フリーランスの選択を後悔することがないように、ぜひ読んでください。

責任が大きい

万が一、医療ミスを犯した場合、病院側が守ってくれないこともあります。
手術中の麻酔は、基本的に麻酔科医1人で行います。そのため、自分の判断で手術の麻酔の管理をしなければいけません。判断を誤ると、医療ミスになる可能性があります。その場合、病院が一緒に対応してくれなければ、麻酔科医は大きな責任を負うことになります。
フリーランスは自由な働き方をできるとともに、責任が大きくなる覚悟も必要でしょう。

スキルアップし続けなければいけない

常勤で働いていると、定期的な研修会や学会の参加を促されるので、スキルアップの機会が多くあります。しかし、フリーランスの場合は、自分の意志で、自費によってスキルアップの機会を作っていかなければいけません。
勤務医のように、出張で学会に参加するというようなことができず、すべて自腹になります。また、学会に参加することで、勤務時間が減るため給与も下がります。しかし、高いスキルを求められるのがフリーランスの麻酔科医です。自己研鑽は必要な経費だと考え、研修や学会への参会を積極的に行い、スキルアップを向上させていく必要があります。

税金の管理が必要になる

フリーランス麻酔科医は、面倒な手続きである確定申告を自分で行う必要があります。勤務医であれば、税金の計算などは勤務先の事務がしてくれます。しかし、フリーランスへの転身後は、税金の管理を自分で行わなければいけません。所得税などの税金だけでなく、国民年金保険料などの支払い手続きもです。今まで行ったことがない作業であるため、少し煩わしさを感じることも多いでしょう。
そのため、税理士に依頼し、税金の計算などを外注する麻酔科医もいるようです。もちろん自分で税金の管理をすることもできます。しかし、外注も検討しておくことも、負担を減らすためによいかもしれません。

まとめ

フリーランス麻酔科医のまとめ

勤務医であれば、深夜の呼び出しや長時間の手術に対応しなければならない麻酔科医。体力的・精神的な負担を減らしたいと考え、フリーランスの道を選ぶ麻酔科医も少なくありません。
麻酔科医はフリーランスに転身しやすい診療科の一つです。働く場所や頻度を自分で選択でき、組織の人間関係に悩まされることがないのは、フリーランスの魅力です。

そして、平均年収が高いにも関わらず、麻酔科医は不足しています。そのため、フリーランス麻酔科医の需要はさらに増えていくと考えられます。勤務医を辞めてフリーランスになっても、今後も活躍していくことは期待できるでしょう。

しかし、麻酔科医がフリーランスになることは、メリットだけではありません、フリーランスへ転身した場合、税金の対策など、今まで行なってこなかった業務をしなければならないという負担はあります。また、どんな状況にも、対応するスキルも求められます。

今回、フリーランス麻酔科医の働き方やメリット、デメリットなどについて紹介しました。また、将来性についても解説しています。この記事が、フリーランスへの転身を考えている医師の一助となれれば幸いです。