「転職をしたいけど、いつ上司に切り出したらいいのか」「転職をするベストなタイミングはあるのか」など、転職をしたくてもタイミングを見出すことができない医師もいるでしょう。
たしかに転職のタイミングや転職理由は人それぞれですが、医師が転職をするのにもベストなタイミングがあることをご存じでしょうか。
今回は、医師が転職をするときのベストタイミングや成功させるためのポイントを解説します。
医師が転職活動を行う際に気を付けるべきことも紹介しますので、参考にしてみてください。
医師が転職するベストなタイミングとは?
医師が転職をするタイミングは「絶対にこの時期!」とは決まっていません。
しかし、転職するベストタイミングもあることをご存じでしょうか?
1年で3回、転職するベストタイミングがあります。
- タイミング①4月
- タイミング②10月
- タイミング③1月
節目の時期ともいえる3回のタイミングですが、どうしてこの時期がベストなのでしょうか。
それぞれ解説していきます。
タイミング①4月
日本では、「4月」は年度始まりのタイミングです。
病院も同じで、4月は「新入社員が入ってくる時期」であるという認識を持っているでしょう。
そのため、医師も転職するタイミングとして4月に転職をした方が「新しい人が入ってきた」とすぐに周囲のスタッフから受け入れてもらいやすいです。
求人も4月の人の入れ替えに合わせて募集をかける医療機関も多い傾向にあるため、転職するにはベストなタイミングと言えるでしょう。
傾向として、1年の中では年度初めの4月に合わせて求人募集をかける医療機関が多い傾向にあります。
多くの求人情報を見て比較したいのなら、4月入社を目指した転職活動をすると良いでしょう。
タイミング②10月
9月や10月は年度の「下半期」と呼ばれる期間に入る時期なので、10月も人の入れ替えが多い時期だと言われています。
下半期の時期から人を受け入れる医療機関も多数存在しますので、転職時期としては良いタイミングのひとつです。
上半期での人事評価や異動の指示などを受けた後なので、その結果をもとに転職を考える人も多い時期でしょう。
人事評価などでは医師としての待遇が目に見える時期でもあるため、自身の評価に対して納得できない医師はこの機会に転職を考える傾向にあります。
タイミング③1月
前述した4月や10月に比べると求人数も少ないですが、実は転職のタイミングとして1月を選択する医師もいます。
しかし、年始前は医師の求人募集は4月や10月採用の時期に比べると少ない傾向にあり、転職活動をする医師も人数としては多くない可能性が高いです。
また、12月は科目によっては冬の繁忙期に突入する時期でもあるため、転職を考える医師自身も繁忙期を迎えているかもしれません。
繁忙期は転職活動に時間を当てる余裕ができない可能性が十分高いため、最終的に満足のいく転職ができるのかどうかも疑問です。
この時期に転職を考えている人は12月の時期にしっかり求人をリサーチした方が良いでしょう。
「どうしても1月には転職を終えたい!」というわけでないのであれば、1月は4月入社に向けて転職活動のスタート時期にしても良いかもしれません。
医師が転職活動を行うのにかかる時間はどれくらい?
医師が転職活動に充てる時間は、もちろんそれぞれで異なります。
入社したい時期に合わせて転職活動をスタートするためには、「自分がどれくらいの時間をかけて転職先を決めるか」を意識しなければなりません。
転職活動を始めて1か月で転職先が決まってしまう医師もいれば、1年以上かけてゆっくり転職活動をする医師もいます。
しかし一般的には医師の転職活動期間は半年と言われているため、4月入社を目指すのであれば前年10月から、10月入社を目指すのであれば4月から、1月入社を目指すのであれば前年7月には活動をスタートした方が良いでしょう。
余裕をもって転職活動を行わないと良い求人案件にも巡り合えませんし、プライベートな時間もバタバタしてしまうため落ち着く時間がありません。
時間にも心に余裕を持って、腰を据えて転職活動を行いましょう。
医師が転職を成功させるためのポイント
医師の転職活動は平均して6か月と言われています。
しかし、その6か月もの間に同じモチベーションで転職活動を行うのもかなり労力が必要になってくるでしょう。
医師が転職を成功させるためには5つのポイントがありますので、そのポイントを押さえながら転職活動を行いましょう。
- 自分のスキルに合った求人情報が出ているのかを確認
- 退職するまでにスケジュールに余裕を持つ
- 転職する前に資格などを取得しておく
- 転職の目的を明確にする
- 転職先への希望条件に優先順位をつけておく
「転職するぞ!」という勢いだけでは転職活動は成功しません。
それぞれのポイントを解説していき舞うので、参考にしてみてください。
自分のスキルに合った求人情報が出ているのかを確認
転職活動において非常に重要なのが情報収集です。
求人案件をいくつも見比べて、それぞれを比較するにはその医療機関の情報も必要となってきます。
転職をするならどうしても自分の希望する条件が提示されている求人に目が行ってしまいますが、自分のスキルや経験に合った条件なのかどうかもしっかりチェックしておきましょう。
スキルが見合っていないと、転職後に「ミスマッチだった」と後悔してしまう可能性もあります。
実際に、希望条件のみしか意識せず転職後に自分のスキルや経験が合わなかったため転職前より苦労した医師もいますので注意が必要です。
採用側の医療機関が「どんな医師を希望しているのか」もしっかりチェックして後悔のない転職にしましょう。
退職するまでにスケジュールに余裕を持つ
「この時期に退職をする」と自身で決めていても、必ずその通りになるのかと言ったら100%そうではありません。
たとえば、自分が退職することにより医師が足りなくなってしまうため引き止められる・代わりの医師が入社するまで辞めないでほしいなど、現職の環境が影響してしまい自分のタイミングで必ず辞めれるかどうかというのは分からないのです。
医師の転職活動にかかる時間は平均して6か月ですが、あくまで6か月というのは平均です。
自身が務めている医療機関の人員体制などを考慮して、余裕をもって転職活動が行えるようにした方が良いでしょう。
人員確保が難しそうな職場であれば、1年くらいかけて転職活動をした方が万が一何かあっても余裕を持って対処できるのではないでしょうか。
転職活動がずれて遅れてしまうと、キャリア維持やスキルアップの機会も逃してしまうケースも考えられるため注意しましょう。
転職する前に資格などを取得しておく
医師の転職活動において、やはり好条件の求人案件は応募が殺到します。
応募した医師の中から選ばれるためにも、突出したスキルや資格を持っておくと転職活動を有利に進めることができるでしょう。
そのためにも、転職を考える前や転職を考え始めてからすぐに資格の取得などを目指して動いた方が良いです。
医師が取得できる有名な資格として、専門医・指導医・認定医などがあります。
資格を一つでも保有していれば転職活動時に選考で優先的に選ばれる可能性も上がりますし、転職先でも良い待遇を期待できるかもしれませんので、取得できる資格は早めに取得しておきましょう。
転職の目的を明確にする
転職の目的も医師によってそれぞれ異なります。
医師がなぜ転職をしたいかによって転職先を選ぶポイントにもなりますので、一度自分の気持ちを整理して転職の目的を明確にしておきましょう。
ライフワークバランスが取れない職場にいるのであればそれを改善できる職場を、給与面で不満があるのならば高収入が期待できる職場を優先的に探すことができます。
将来的に開業などを目指しているのであればスキルアップできる職場や実際に経営を目の当たりにすることができるような職場を探すなど、転職の目的が明確であれば転職先を選ぶのもスムーズに行えるでしょう。
転職先への希望条件に優先順位をつけておく
転職することを決めたのなら、まずは転職先への希望条件を紙でも何でも良いのでいくつか書きだしましょう。
希望する条件は複数あった方が転職先の選択肢も大きく広がります。
複数の条件を考えたら、次はその複数の希望条件の中から優先順位をつけると良いでしょう。
条件と言ってもさまざまあり、収入に関すること・労働時間に関すること・職場の環境に関すること・専門的な知識がどれほど必要なのかなど多くの条件があります。
転職活動を行う上で重要視する条件を自分でしっかり把握しておけば、転職後に「こんなはずではなかった」と後悔することもないはずです。
医師が転職活動を行う際に気を付けるべきこと
医師が転職を成功させるためには5つのポイントを抑えるべきですが、転職活動を行う際に気を付けるべきことはあるのでしょうか。
実は、医師が転職活動をする上で気を付けた方が良いことは2つあります。
- 繁忙期の転職活動は避ける
- 引継ぎのタイミングでカルテをしっかり記録しておく
転職活動は自分のこれからの人生において大きな転機であると言えます。
やるべきことはしっかり押さえて、次のステップに進むのが良いでしょう。
繁忙期の転職活動は避ける
医師が転職活動を進める際には、繁忙期の転職活動を避けることが気を付けるべきこととして挙げられます。
自分の職場・転職を考えている医療機関ともに当然繁忙期はそれぞれ異なりますが、お互いに繁忙期に突入しているときは特に避けるべきです。
繁忙期に転職活動を進めようとすると、自分の仕事が忙しすぎて転職活動に手が回らなくなってしまいます。
また相手側が繁忙期の場合、職場の見学等をしたくてもゆっくり見学することも実際に現場で働いているスタッフから話を聞きたくてもなかなかそういった機会を持つことができません。
繁忙期に転職活動を行うことは避け、できるだけ閑散期など患者の出入りが少ない時期に転職活動を行うようにしましょう。
引継ぎのタイミングでカルテをしっかり記録しておく
他の職業にも当てはまることではありますが、医師の転職は引継ぎまでが転職活動です。
現在担当している患者の必要な情報をしっかり後任の方に引き継げるようにしておきましょう。
もちろん日々の業務で患者情報は常に変化していきますが、引継ぎは患者に関する細かな情報まで後任に伝える必要があります。
後任の医師だけではなく、患者に関わる看護師や他の医療従事者の協力なども得られるようにした方がスムーズに引継ぎを行えるでしょう。
記録だけではなく、担当している患者に対してもフォローが必要となるはずです。
自分が退職する旨や後任の医師についてをしっかり伝えておけば患者も不安に思うことがないでしょう。
後任の医師が決まっていないケースもあるため、記録を残しておくことは非常に重要なこととなります。
患者のために最大限のフォローをしてあげると良いでしょう。
また、「専門医試験更新のための症例レポート」を自身のために記録しておく必要があることを忘れないようにしてください。
退職後は勤務していたとはいえカルテを見返すことは不可能です。
引継ぎのタイミングで自身のために記録をしておくようにしましょう。
医師の転職は動き出すタイミングも重要
医師の転職は現職の忙しさなどにもよりますが必ずしもスムーズにいくとは限りません。
そのため、転職に向けて動き出すタイミングというのはとても重要になります。
前述したように、医師が転職活動を行う時間は平均して6か月と言われています。
しかし、6か月でスムーズに転職できるかどうかは分からないため、余裕をもって動き出すのが良いでしょう。
医師にとって、選択した転職が英断だったのか後悔となるかは「タイミング」や「縁」によります。
「評判のいい病院だから転職したら好待遇のはず」と考えて転職しても、自分には合わない可能性もあるため、転職活動を行う際には転職先をしっかりリサーチするようにしましょう。
また、年度の切り替え時期である4月や年度の下半期にあたる10月は人事があるため、入社する時期としてはベストなタイミングと言えます。
求人数もそれに合わせて6か月前から増える傾向にあるため、良い求人を見落とさないようにしましょう。