「ドクターX~外科医・大門未知子~」をきっかけにフリーランス外科医を知った方は多いのではないでしょうか。
フリーランス外科医になると、収入アップやスキルアップにつながります。
しかし、フリーランス外科医として働くときの注意すべき点もあります。また、医局に属さず働くことはまだ一般的ではないため、フリーランスとして働く不安もあるでしょう。
本記事では、現代の医局とフリーランス医師の関係性や、フリーランス医師のメリットとデメリットについてわかりやすく説明します。
フリーランスの外科医とは?
フリーランス外科医に関する基本的な知識について紹介します。
フリーランス外科医とは
フリーランスの医師の定義は様々ですが、一般的に医局に属さず仕事をする医師のことを指します。
今まで、常勤医がアルバイトやボランティアで2職場以上で働くことはめずらしくありません。
しかし、それをフリーランスと呼ぶ人はいないでしょう。
フリーランスの勤務形態は非常勤勤務(アルバイト)をベースとしています。その上で複数の医療施設の掛け持ちをする場合が多いです。
フリーランスの最大の特徴は時間と職場に縛られない自由な働き方にあります。たとえば、ある放射線医の先生は自宅に医療用モニターを設置。業者や海外から画像をもらい、複数の医療施設で画像診断します。いわゆるオンライン診断です。
新医師臨床研修制度や、求人サイトの充実でフリーランスを選ぶ若手の医師は増えています。
「ドクターX~外科医・大門未知子~」のようなフリーランス外科医はいる?
「ドクターX 外科医・大門未知子」
「私、失敗しないので」が決め台詞のテレビ朝日系ドラマ。2012.10に放送され、20%とかなりの 高視聴率を獲得しています。
登場人物紹介
「大門 未知子(37) フリーランス外科医………米倉 涼子
大学病院の医局に属さず、怪しい医師紹介所に所属しながら、様々な病院を渡り歩いている。勤務時間は絶対厳守。医師免許不要の雑用は一切引き受けず、院内にありがちな権力闘争にも無関心。報酬は桁違いに高いが、外科医としての腕は超一流。自身も自分の腕に絶対の自信を持っている。誰に対しても物怖じせず、言いたいことを口にするため、医局の面々とは折り合いが悪い。趣味・特技が手術だが、手術以外のことにはもっぱら弱い。病院勤務のみならず「船医」「軍医」まで経験したという噂もあり、意外なところに人脈を持っている。」
引用:tv asahi キャスト https://www.tv-asahi.co.jp/doctor-x_02/sphone/cast/
権威主義だった医界で、権力闘争に興味を示さず、自分のスキルのみで活躍するストーリーは痛快です。
結論からいうと、大門未知子さんのようなフリーランス外科医はいません。
大門未知子さんは医師免許不要の雑用は一切引き受けないと言っています。この場合、医師免許が必要な仕事は手術のことです。しかし、現実では手術のみを行う外科医は存在しません。
外科手術は入念な事前準備が必要で、患者と家族の信頼関係も欠かすことができません。さらに、手術後は経過観察や、リハビリの処方が必要です。手術だけで呼ばれる外科医は、世界でほんの一握りのカリスマのみ。
フリーランス外科医の台頭と権威主義だった医界
今若手の医師にはなじみのないことかもしれませんが、かつての医界は今よりも閉鎖的で権威主義でした。当時の医師とフリーランス医師にまつわる時代の移り変わりを見ていきましょう。
フリーランス医師とかつての医界
医局とは、ドクターXや、白い巨塔で登場する教授を頂点とした組織です。関連病院に医師を派遣し、地域医療の維持を担っていました。当時、地域への要員は医局が担うことが多かったです。
医局には、博士号を与える権限があるため、強制力を持っていました。だから、医師の派遣は医局が仕切ることができました。
しかし、次のようなきっかけで医局は弱体化していきます。
フリーランス医師のターニングポイント
2004年 4月 新医師臨床研修制度が必修に
新医師臨床研修制度の出現により、医局に属さず、直接病院と契約するフリーランスの医師が登場します。
新医師臨床研修制度とは、研修医が卒後2年は医局に属さず、研修先をマッチングシステムで選ぶことができる制度です。2年のローテーション研修になっています。各科を内科4か月、小児科4か月、麻酔科1か月のように様々な医療現場を経験することが可能です。
2012 2月 天皇陛下の心臓手術の執刀医に、順天堂大学教授・天野篤が任命
権威主義の医界では、学歴や論文の評価等が重視されるなか、手術のスキルによる人選は衝撃でした。
天野教授の経歴
3浪の末、日本大学医学部卒 留学歴なし
しかし、天野教授と東大病院の共同チームで見事手術に成功しました。
このエピソードをきっかけにスキルがあれば、学閥、学院の枠を超えて活躍できるフリーランス外科医の新しい風が吹き始めました。
10月 「ドクターX~外科医・大門未知子~」
視聴率20%を超える人気ドラマによってフリーランスの医師が知名度を得ました。なかでも麻酔はフリーランス医師が担当するシーンが目立ちました。現在では、フリーランスの麻酔医が多く活躍。
フリーランス外科医が活躍する今
今の医局は、医師が派遣先で働きやすいように、配置をサポートする役割を担っています。
フリーランスのターニングポイントで述べたように、権威よりもスキルで稼ぐ、フリーランスの医師が広く知られ、以前と比べ、医局に属さなくても働きやすい環境になっています。
さらに、インターネットの発達で医師は直接病院と契約できるように。
そのため、現在では医局よりも都市部の病院を選ぶ若手医師が増加しています。
フリーランス外科医の収入
フリーランス外科医の想定年収は1920万円です。
試算;(相場の時給1万円で試算:1日8時間×週5日×4週×12か月)※中には時給2万円の案件も。
外科医の平均年収は1379万円なので、十分な収入アップが望めるといえるでしょう。
参考:CLIUS クリニック開業マガジン 【外科医の年収事情】オペがうまくなるまでには何年必要?
フリーランス外科医のメリット・デメリット
フリーランス外科医のメリット
常勤医はスキルが高くても、収入は変わらないのに対し、フリーランスの外科医は高額バイト入れまくることができます。ただし、フリーランスの仕事を受ける条件に高いスキルが必要です。
とくに、高単価の仕事は、最低5年以上の医師としての経験や専門医の資格が求められることがあります。
したがって、高額アルバイトが殺到することは、有能な外科医の証でしょう。
フリーランス外科医にはほかに、このようなメリットがあります。
- ワークライフバランス
- 外科医としてスキルアップ
- 常勤医よりも高収入
- 人間関係のしがらみからの解放
フリーランス外科医のデメリット
フリーランス外科医の主なデメリットです。
- 福利厚生が少ない
- 専門医の資格維持が困難
- 学びの機会が少ない
- 医療ミスのリスク
- 通勤ストレス
フリーランス外科医の働き方
フリーランスの外科医になるには
フリーランスの外科医になる手順を、紹介します。
やめる流れ
(信頼できる人や先生に相談)
↓
研究室のリーダーと面談
↓
医局長と面談
↓
教授と面談
↓
退局
反対されるばかりではなく、面談の結果応援されるケースもあるようです。
参考:Dr.さいとーの雑記ブログ:【インタビュー】フリーランス医師って実際どう?退局の経緯や現在の生活をお話しします!
フリーランス外科医の働き方
フリーランス医師の働き方は大きく3種類あります。
- 定期非常勤
- スポット
- 定期非常勤×スポット
(スポットとは日雇いアルバイトです。)
そのうち、フリーランス外科医が現実的に選択しやすいのは、定期非常勤もしくは、定期非常勤とスポットの組み合わせです。
なぜなら、麻酔医やほかの診療科目にくらべ、外科医のスポットの求人が少ないからです。外科手術は術前の準備と術後のアフターフォローや経過観察が必要なため、スポットで担うことはできません。そのため、安定した収入を得るため定期非常勤は必須と言えるでしょう。
まとめ
フリーランス外科医の医界での立ち位置や、収入や、スキルアップなど常勤医と比べて優っている点や注意点について説明しました。
フリーランス医師のなかでも外科医はフリーランスとして失敗しないためには正しい情報を得ることが必要です。
注意点を踏まえ、すぐにフリーランス外科医になって収入を上げたい方や、スキルアップしたい方はぜひ求人サイトを見てみましょう。