医師がおこなう副業の中でも人気の健診アルバイト。「健診アルバイトの医師の仕事内容は?」「健診アルバイトを医師がするにはどんなスキルが必要?」と思っている医師もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、健診アルバイトに応募する医師向けに、健診業務の仕事内容や必要なスキルに関して解説します。健診アルバイトの探し方のポイントなども紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
健診アルバイトの医師業務の内容は?
健診アルバイトで医師がおこなう業務について紹介します。
業務内容は下記のとおりです。
- 診察
- 放射線検査の読影
- 結果の説明
- 生活指導
- 報告書の作成
それぞれについて詳しく説明します。健診アルバイトを考えている医師の方は、ぜひお読みください。
診察
健診アルバイトの主な業務は、健診項目のひとつである「診察」です。「問診」「触診」「聴診」により健康状態の確認をします。病院の外来診療と異なり、異常を見つけても処置をすることはありません。
受診者が事前に記入した問診表をもとに話を聞き、触診・聴診によって診察します。触診・聴診で確認することは下記のとおりです。
- 眼瞼・眼球結膜
- 頸部のリンパ節
- 甲状腺
- 心音
- 呼吸音
臨床経験が少ない医師でも身につけている知識で十分対応可能です。
放射線検査の読影
健診でおこなう胸部X線や胃透視、心電図などの読影をします。病院では基本的に読影は放射線科医師が実施するので、不安に思う医師もいるかと思います。健診アルバイトでの読影は放射線科のWチェックを実施している施設もあるため、詳細な診断を求められないところもあるので心配いりません。ただし、求人によっては、読影は専門医のみに限定した募集もあるので、申込時には確認が必要です。
結果の説明
健診の結果説明をします。まだ経過観察でよいのか、精密検査が必要であるのか判断し伝えます。精密検査が必要な場合、受診者はどの科を受診すればよいか迷うこともあるので、専門科がどこであるかなどをアドバイスします。
健診は病気の「早期発見」が目的であるため、健診の結果説明では詳しい治療方法などは伝えません。そのため、治療に関する専門的な知識はほとんど必要ありません。
生活指導
問診や検査結果をもとに、生活改善が必要な受診者に指導をおこないます。保健師や看護師、栄養士が実施する施設もありますが、医師の業務に含まれていることもあります。
生活指導では、禁煙や禁酒、運動習慣や生活習慣の改善などを話します。健康に関しての疑問に答えたり、受診者の生活を見直したりして、生活習慣改善のための計画を立てます。生活指導も専門知識は必要ありません。生活指導について疑問に思うことがあれば、健診施設にいる保健師や看護師に聞いてみるとよいですよ。
報告書の作成
検査結果をもとに、結果の判定をします。施設によっては、事務員でおこなうところもある程度なので、難しい作業ではありません。検査結果が異常であるか、正常であるかわかればおこなえます。
代表的な健診の種類4つ!アルバイト医師も知っておくべき検査内容も紹介
健康診断には「一般健診」と「特殊健診」があり、女性向けに「乳がん検診」と「婦人科検診」があります。それぞれ異なる検査内容について、わかりやすく説明します。
一般健診
一般健診は、定期的に会社員が受ける健診です。
検査項目には、下記のようなものがあります。
- 既往歴・家族歴
- 自覚・他覚症状
- 身体計測(身長・体重・腹囲・BMI)
- 血圧測定
- 聴力
- 胸部X線検査
- 血液検査
すべての検査後に医師が診察をします。
特殊健診
特殊健診では、特定業務従事者を対象に医師は診察をおこないます。
下記の業種やものを取り扱っている方が特殊業務従事者です。
- 酸取扱者
- 石綿
- じん肺
- 電離放射線
- 特定化学物質
- 鉛
- 有機溶剤
一般健診に加え、特殊業務に沿った項目を検査します。例えば、じん肺健康診断では、呼吸機能検査や結核菌検査などです。医師の診察では、特殊業務に応じた自覚症状や他覚症状などを中心に、問診・触診・聴診をおこないます。特殊業務ごとの起こりやすい健康障害を知っておけば、問題なく診察できるでしょう。
乳がん検診
乳がん検診の検査項目は下記のとおりです。
- 問診
- マンモグラフィ
- 乳腺エコー
- 乳房視触診
問診では、月経周期や結婚歴、出産歴を聴きます。健診アルバイトの乳がん検診では、マンモグラフィの読影も含まれることがあります。乳がん検診の求人は女性医師や乳腺外科医などに限定されていることも少なくありません。
婦人科検診
婦人科検診とは、乳がんと子宮がんを発見するための検診です。
検査項目は下記のとおりです。
- 子宮がん細胞診
- 経腟エコー
- 乳腺エコー
- HPV検査
- 乳腺視触診
- マンモグラフィ
婦人科検診は専門的な知識が必要な検診であるため、産婦人科や婦人科に限定されていることもあります。
健診アルバイトの場所3選!医師の業務内容の違いについても解説
健康診断は健診センターだけではなく、以下の方法で実施されます。
- 院内健診
- 出張健診
- 巡回健診
それぞれ働き方が異なりますので、詳しく説明します。
院内健診
「院内健診」は医療機関や健診センターでおこなう健診業務です。契約したアルバイト先の施設に出向き、業務をおこないます。後述する「出張健診」や「巡回健診」とは異なり、会場設営などの手間がかかりません。
決められた施設での業務であるため、スポットバイトに比べて定期非常勤の募集が多いです。そのため、定期的に健診アルバイトをしたいと考える医師は、「院内健診」を選ぶと良いでしょう。
出張健診
会社や学校、コミュニティセンターなどで健診を実施する場合に現地に出向く健康診断です。健診会場によっては朝が早い場合や宿泊が必要な場合があります。
健診会場へは事前に提示された住所をもとに自分で行くことが多く、会場がわかりにくいこともあります。直接現地に出向く場合は、会場の場所の確認、通勤時間を確認しましょう。
巡回健診
健診バスに乗り、1日に数か所の会場に出向き健診をおこないます。企業の会議室などを健診会場にするため、会場設営が必要なこともあります。移動や設営があるため、少し体力的に負担がかかる健診アルバイトです。そのため、院内健診に比べて給与が高い傾向にあります。
【健診アルバイト】医師に求められるスキル内容3つ
健診業務は病院での医師と患者の関係とは少し異なり、「サービス業」に近い面があります。そのため、医師をはじめ健診業務に携わるスタッフには下記のスキルも求められます。
- ホスピタリティ
- 対応のスピード
- コミュニケーション
それぞれについて説明します。
ホスピタリティ
健診業務では「おもてなし」の姿勢が必要です。ふだんの仕事よりも健診業務は「サービス業」と考えていた方がいいでしょう。
健診をおこなう施設では、受診者に自施設を選んでもらいリピートしてもらうために、レディースフロアや個室を完備するなど、さまざまな工夫をしています。受診者へホスピタリティの対応ができるように、健診スタッフがしっかり教育されている施設も少なくありません。そのため、短期のアルバイトであっても医師もホスピタリティを大切にし、業務にのぞむ必要があります。
対応のスピード
健診業務には対応のスピードが求められます。健診を仕事の合間などに受診する方も多く、健診時間や待ち時間を減らすためです。
診察を丁寧におこないたいと考えている医師もいるかと思います。しかし、健診業務の診察はふだんよりスピーディーにできるように心がけておくことが必要です。マニュアルが準備されている場合は、スムーズに対応できるように事前に確認しておくと良いでしょう。
コミュニケーション力
コミュニケーション力も健診業務では求められます。受診者は自身の健康に関しての疑問や不安な点を尋ねてきます。医師は短時間の関わりの中でも、受診者の気持ちに応えられるようなコミュニケーション力が必要です。
医師やスタッフの態度が悪かったからという理由で、健診施設を変更する受診者も珍しくありません。受診者の不安な気持ちに応えられるように、健診アルバイトの際にはふだんより意識してコミュニケーションをとりましょう。
健診アルバイトは人気!医師が仕事内容から選ぶ理由4選
健診はアルバイトをする医師の中でも人気の仕事です。すぐに応募が締め切られることも少なくありません。
人気の理由は下記のとおりです。
- 体力的・精神的に負担が少ない
- スポットバイトがある
- 残業が少ない
- 専門医でなくてよい
健診アルバイトは子育てや研究で臨床から離れて、診療に不安を感じる医師も多く働いています。また、短時間の健診業務のアルバイトもあるので、すきま時間でアルバイトをしたい勤務医にもおすすめです。
健診アルバイトの多くは医師向け求人サイトで紹介されています。健診アルバイトをはじめたいと考えている医師は、まず求人サイトを見てみるのもよいですよ。自分に合ったアルバイトを見つけやすい医師向け求人サイトは「【最新版】医師向けのバイト探しにおすすめなサイト10選!在宅でできるバイトも紹介」で紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
体力的・精神的に負担が少ない
体力的・精神的な負担が少ないのも、健診アルバイトの魅力です。健康診断の受診者は健康な方が対象です。短時間で受診者を診察しますが、基本的に同じ診察を繰り返します。緊急時の対応もほとんどないため、体力的・精神的な負担が少なくてすみます。
スポットバイトがある
医師向けの健診アルバイトは、スポットの求人が多くあります。新入社員向けの健康診断が増える春や定期健診が増える秋が求人が多い時期です。
健診業務が増える時期のみアルバイトを募集している健診施設は珍しくありません。半日、1日と選ぶこともできる求人もあります。そのため、すきま時間ができたときだけ、働きたい医師に人気のアルバイトです。
残業が少ない
健診アルバイトのほとんどが勤務時間がしっかり決められており、残業が少ないです。24時間対応している病院と異なり、業務時間が決まっているからです。むしろスムーズに業務を終わらせることが望まれるため、予定の就業時間前に勤務が終わることもあります。残業が少ないため、子育て中の医師や本業が多忙な医師でも働きやすい環境といえるでしょう。
専門医でなくてよい
健診アルバイトは、専門医の資格が不要の求人も多くあります。前述したように、基本的な知識を備えていれば問題なくおこなえます。そのため、臨床経験が浅い医師でも応募しやすいでしょう。
ただし、健診の胸部X線や胃透視検査の読影は専門医を募集している求人もあります。そのため、健診アルバイトを探す際には、業務内容を確認して募集するとよいでしょう。
健診アルバイトをする医師によくある質問は?仕事内容を深掘り!
医師の健診アルバイトについて詳しく説明してきました。不安なく、健診アルバイトをはじめられるように、よくある質問を紹介します。健診アルバイトを深く知るために、ぜひ参考にしてください。
健診先で医師マニュアルはある?
業務に関するマニュアルが用意されていることが多いです。記録の記載方法や特殊健診に関することなどが書かれています。もちろん、一緒に業務をするスタッフに聞くこともできるので、初めての方でも戸惑うことなくはじめられるでしょう。
健診アルバイトで必要な当日の持ち物は?
下記のものをアルバイト当日に持ってくるように指示されることがあります。
- 身分証明書
- 医師免許所
- 印鑑
- 白衣
- 聴診器
- 筆記用具
白衣や聴診器、筆記用具は健診施設が準備していることも多いです。事前に用意すべきものがあるか確認しておきましょう。
健診アルバイトの医師の相場は?
医師の健康診断の時給は、1万円前後が相場です。急募の案件の場合、さらに時給が高いこともあります。業務内容のわりには高額なアルバイトです。
まとめ
今回の記事では、健診アルバイトをはじめる医師向けに健診アルバイトの仕事内容や勤務場所、健診の種類、求められるスキルに関して解説しました。医師の中でも人気の健診アルバイト。病院とは異なり「サービス業」に近い対応が必要となるため、ホスピタリティや対応のスピード、コミュニケーション力が求められます。しかし、医業の基本的なスキルを身につけておけば、支障なく業務を遂行できます。そのため、臨床経験が浅い医師や育児などで仕事から離れていた医師にはおすすめのアルバイトです。スポットバイトや定期非常勤など求人も多くあるので、自分に合った健診アルバイトを探してみてください。