「電子カルテアプリの導入を考えているけど、どれを選べばよい?」
「電子カルテアプリを導入すことで、どんなことができるの?」
カルテは診療に関する情報を記載するため、多くのデータを入力しなければいけません。重要な業務ですが、手間や時間がかかるため、負担を感じる医療従事者も少なくありません。電子カルテアプリを導入することで、入力作業の負担を減らすことができ、業務改善につながります。
そこで今回は、電子カルテのアプリを導入したいを考えている方に向け、おすすめのアプリを紹介します。また、電子カルテアプリの効果的な使い方や使う上での注意点についても解説します。ぜひ、参考にしてください。
おすすめの電子カルテアプリ10選を紹介!
カルテ入力の時間や手間を減らすためには、電子カルテアプリを導入がおすすめです。ここでは、カルテ業務を効率化できる電子カルテアプリを紹介します。おすすめするポイントもまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
CLINICSカルテ
CLINICSカルテのおすすめポイントは、以下のとおりです。
- 予約から会計まで一元化できる
- 初期費用が抑えられる
- どのパソコンからも利用可能
CLINICSカルテは、WEB予約・問診やオンライン診療、キャッシュレス決算すべてが一元管理できます。レントゲンや心電図など、他の機器とも連携しやすいので、重複した管理の手間がないため、業務を効率的におこなえます。
Windows、Mac、iPadに対応しており、時間や場所、利用する台数も気にすることなく使えます。ベッドサイドはもちろん、自宅や往診先でもカルテの入力や操作が可能です。
きりんカルテ
きりんカルテのおすすめポイントは、以下のとおりです。
- 無料で利用することができる
- 予約システムを搭載
- 外部のデータを取り込み可能
きりんカルテは、無料のクラウド型電子カルテシステムです。基本的な機能のほかに、受付機能や予約システムも搭載しています。Windows、MacどちらのOSにも対応し、スマホやiPadからも使うことができます。さまざまな端末から、カルテの閲覧や入力ができるので、在宅医療にも対応可能です。また、外部の検査会社からのデータを、きりんカルテに取り込むことができるので、自分で入力する手間を省くことができます。
エムスリーデジカル
エムスリーデジカルのおすすめポイントは、以下のとおりです。
- 書きやすい手書きアプリ
- 写真やシェーマがすぐに反映されるため取り込む手間を削減
- ビデオ通話機能を利用してオンライン診療が可能
エムスリーデジカルの手書きアプリは、紙カルテを好む方でも使いやすく、紙に書いているかのように電子カルテに入力が可能です。患部などを撮影した写真に、簡単に記入でき、すぐに電子カルテに反映されます。現在もっているiPhoneでも利用可能であるため、訪問先や外出中でも記入することができます。
また、ビデオ通話機能により、オンライン診療をおこなうことができ、外来診療と両立がしやすくなります。
medicalforce
medicalforceのおすすめポイントは、以下のとおりです。
- 導入費用やアップデート料金が無料であるためコストを削減できる
- 予約の管理が効率よくできる
- データを可視化・分析できるので効率的な経営が可能
medicalforceは、自由診療クリニック向けの電子カルテアプリです。部屋やスタッフの空き状況と予約システムが連携されるため、予約に関する電話や調整が必要でなくなります。効率よく予約をすることができ、患者さんも予約をとりやすくなるため、リピート率を上げることが期待できます。また、売り上げや物品数などの院内のデータを自動で集計でき、可視化することができるので、クリニックの経営業務を効率的におこなえます。
日病モバイル
日病モバイルのおすすめポイントは、以下のとおりです。
- 端末を共有できるため回線にかかるコストを削減できる
- すべての端末を管理できるため高いセキュリティ対策が可能
- ナースコールを受信できる
日病モバイルでは、利用するためのIDを利用者全員に発行されるため、ひとつの端末を複数で利用可能となります。そのため、端末や回線を多く持つ必要がないため、コストの削減につながります。また、管理者によって端末を一括で管理することができるため、セキュリティが守られ、安心して利用することができます。
ナースコールとも連動することが可能であるため、端末と別にPHSを持つ必要がなくなります。
Health Life Service
Health Life Serviceのおすすめポイントは、以下のとおりです。
- 22か国語に対応
- パソコン、スマホ、タブレットに対応
- 低価格で利用可能
Health Life Serviceは、34か国語に対応しているため、外国人の患者さんへの対応もしやすくなります。端末は、追加料金なしで、お手持ちのパソコンやスマホ、タブレットから利用することができます。また、すでに導入している電子カルテとも連携が可能です。Health Life Serviceは、クラウド型であるため、申し込みして最短で半日で利用可能となり、導入コストを抑えることができます。
WATATUMI(わたつみ)
WATATUMIのおすすめポイントは、以下のとおりです。
- Android対応
- 業務用PDAより安価
- Androidアプリケーションの利用が可能
WATATUMIはAndroidに対応しているため、業務に合わせて端末を選ぶことができます。画像を見ることが多い場面では、大きい画面の端末を選ぶ、ベッドサイドで使用する端末は持ち運びしやすいものにするなど、用途に合わせて選ぶことで業務の効率化を図れます。また、Androidの端末は、業務用PDAに比べ安価であるため、コストを抑えることができます。
GoogleカレンダーやGmail、Skype院内コミュニケーションなどのAndroidアプリケーションの利用が可能です。院内の情報共有だけでなく、研修や会議、スタッフのシフト管理などにも利用できるでしょう。
CLIUS(クリアス)
CLIUSのおすすめポイントは、以下のとおりです。
- 薬用量機能で適正な処方量を算出
- オプション料金無料でWEB問診機能を追加できる
- オーダーチェック機能で医療ミスを削減
CLIUSでは追加料金が不要で、体重や年齢、体表面積によって処方量が微量に変わる小児向けに、薬用量機能が搭載されています。また、WEB問診機能では、問診を患者さんに入力してもらうので、事務スタッフや看護師の入力の負担を削減できます。
さらに、患者の情報をもとに、禁忌や慎重投与が必要な薬剤が投与されていないかチェックし、警告を出す機能があります。ミスを防ぐことができ、安全な医療の提供につながります。
AI・CLINIC
AI・CLINICのおすすめポイントは、以下のとおりです。
- オーダー処方チェック機能で医療事故を事前に回避
- 在宅機能があり専用画面で簡単に入力できる
- マニュアル不要の簡単な操作が可能
AI・CLINICでは、オーダー処方チェック機能が搭載されており、禁忌やアレルギー登録された薬剤が処方されないように事前に回避してくれます。また、在宅医療専用の画面があり、時間が限られている訪問先でも簡単に入力できるようになっています。
AI・CLINICは、直観的な操作でカルテの入力をおこなうことができ、マニュアルがなくてもすぐに使いこなせます。
Brain Box Cloud
Brain Box Cloudのおすすめポイントは、以下のとおりです。
- 数値データから分析をおこない提案・予測してくれる機能が搭載
- 一画面で患者の全体像を把握できる
- カスタマイズが簡単にでき、お好みの画面にすることができる
Brain Box Cloudは、クリニックの蓄積されたデータを分析して、待ち時間や診療報酬の点数の比較をおこなってくれます。また、一画面で、薬歴やオーダー履歴、最近の診療記録を見ることができるので、診察がスムーズにおこなえます。そして、キーパッドのベースの色や文字サイズの変更を自在にカスタマイズすることができ、さらに使いやすくなります。
電子カルテアプリの効果的な使い方
電子カルテアプリの機能を活かすことで、カルテ入力の作業を効率よくできるだけでなく、都市部と過疎地での医療格差を是正できる可能性もあります。
電子カルテを導入してすぐは、慣れるまでに時間がかかるかもしれません。しかし、アプリの機能を効果的に使うことで、カルテ業務がスムーズにできるようになります。さらに、AI機能によって、入力する時間の削減や医療不足の地域の支援にも役立ちます。
以下では、電子カルテアプリの効果的な使い方について紹介します。導入したアプリの機能を十分に活かせるよう、参考にしてください。
さまざまな場面で役立つ
電子カルテアプリは院内だけでなく、在宅医療でも活用できます。アプリは、スマホやタブレットで使うことができ、どこにいてもカルテの入力や閲覧が可能です。往診先に紙カルテを持ち運ぶことに労力や手間がかかるのは、容易に想像できるでしょう。スマホやタブレットでアプリを使用できることで、過去のデータも確認しやすくなるので、患者により的確な診療を提供できます。
さらに、在宅医療を提供する際の負担の軽減になり、急な往診にも対応しやすくなります。看護師がおこなう訪問看護においても、患者の状態をかかりつけ医にリアルタイムに報告できるようになります。また、感染症が心配な状況下では、患者と医療スタッフとの接触をおさせることにつながります。
どこにでも持ち運びしやすく、使いやすい電子カルテのアプリは、医療業界においてさらなる質の向上に貢献していくことでしょう。
画像を手軽にカルテに取り込む
スマホやタブレットで利用することが可能であるため、写真を撮って簡単に診療記録に取り込むことができます。
傷の範囲や出血量の確認など患者の状況を把握するために、医療現場では写真を撮る場面が多くあります。今までであれば、デジタルカメラを持ってきて、写真をとり、画像を取り込むという一連の作業が必要でした。アプリによって、スマホやタブレットが電子カルテとつながることで、カメラとパソコンをつなぎ、画像を取り込むという作業が必要なくなります。面倒な作業を省くことができ、業務の効率を向上させることができるでしょう。また、常にスマホやタブレットを持ち運んでいれば、患者のもとですぐに写真を撮ることができるので、リアルタイムに患者の状態を記録に残すことが可能になります。
データの入力時間を削減
電子カルテアプリにより、情報を入力する時間を削減することができます。カルテには、診断や処方などを記載するだけでなく、患者のあらゆる情報を記載しなければいけません。紙カルテであると、多くの情報を決められた用紙に手書きする必要があるため、時間がかかります。
電子カルテであれば、定型文やテンプレートなどを作成することが可能です。定型文やテンプレートを活用することで、少しの作業だけで多くの情報を入力でき、まとめることができます。
AI機能を活用
アプリのAI機能を活用することで、医師不足の地域の支援や医療ミスの軽減、業務の効率化に役立ちます。
AI機能によって、患者の既往や病歴、検査データから医師の診療をサポートすることができ、診断を素早くおこなえるようになります。最新のガイドラインなどを網羅しているため、正確な処方や治療法の提案もしてくれます。ほかにも、患者の既往やアレルギーから、禁忌の薬が投与されていないかなど、チェックしてくれる機能もあります。
AI機能を活用することで、患者に最適な医療を提供でき、医療ミスを減らすことにもつながります。
医師不足の地域の支援
過疎地では、医師や医療機関が不足してあり、地域によっては、医師が数人しかいない地域もあります。少ない人数の中で、診療をおこなう必要があるため、専門以外の患者も診なければいけないことも珍しくありません。
医師が自分の専門外の患者をみる際、役立つのが電子カルテのAI機能です。患者の症状を入力すると、AIが必要な薬や処置などをカルテに記載してくれます。医師は、AIの情報をもとに診療をおこなうことができ、専門外の症状でも正確に診ることができるようになります。
過疎地でも質の高い医療を提供できるよう、これから医療現場でAI機能が活躍することが期待されています。
業務の効率化
AI機能によって、手間のかかる入力作業を削減することができます。例えば、薬の名前を一から入力する作業などです。よく使用する薬があれば、薬の名前をAIが自動で学習してくれます。薬は容量まで正確に書く必要があるため、AIによるサポートでミスを減らし、入力する手間も減らすことができます。
処方や治療計画に関する定型文やテンプレートを電子カルテに登録しておくと、さらに時間の短縮が図れ、業務を効率的におこなうことができるでしょう。
予約から会計までを行う
アプリを患者さんにも登録してもらうことで、予約から会計までを効率良くおこなえるようになります。
予約の問い合わせや確認によって、業務が滞ることも少なくありません。電子カルテアプリによる予約システムでは、予約の空き状況なども反映しているため、確認作業などをしなくてすみます。また、予約時に問診の入力をしてもらうことで、問診の内容をカルテに入力する手間も省け、来院してからの患者さんの待ち時間も減らすことにつながります。さらに、レセコンから診療報酬の金額をカルテへ連携することができ、会計の業務やミスを減らすことにも役立ちます。
情報を素早く共有する
素早く情報を共有できるため、業務の効率化が図れます。電子カルテアプリでは入力したデータを、医師や看護師、クラークなどさまざまな人が、リアルタイムに確認することが可能です。
医療スタッフは、検査結果など診療に関する再任の情報をすぐに知ることができるので、迅速に医療ケアを提供することできるようになります。また、レントゲン撮影や採血などの検査後に、結果のデータを医師のもとに持っていく手間も必要なくなるので、労力がかかる業務を削減できます。さらに、患者さんの情報を素早く共有できることは、院内の業務が効率化するだけではありません。電子カルテアプリを活用し、地域の医療機関とのネットワークを広げることで、地域における医療分野の質の向上にもつながります。
厚生労働省の「医療分野の情報化の推進について」にも示されているように、地域で医療情報を共有していくことが望まれています。電子カルテアプリの普及が広まることで、患者さんは住みなれた地域で安心して、質の高い医療を受けることができることが可能となるでしょう。
オンライン診療
電子カルテアプリを導入することで、オンライン診療ができるようになります。オンライン診療とは、スマホやタブレットなどで、患者の状態を把握し、診療をおこなうことです。
仕事や子育てで病院を受診しにくい方や遠くに住んでいる方にとって、病院の受診は時間や交通費の負担になり、遠ざけてしまうことも少なくありません。自宅で医師の診療を受けることができるオンライン診療は、患者にとって便利なサービスです。
また、医療者側にもメリットがあります。患者は自宅でも診療を受けることができるので、再診率が上がります。患者の自宅での状況を把握しやすくなるので、生活指導の際にも役立ちます。
電子カルテアプリを使う上で注意する点
電子カルテアプリは、業務の効率化や医療の質の向上に役立ちますが、導入時に注意すべき点もいくつかあります。
- 利用料の把握
- 情報の漏れを防ぐ
- 緊急時の対応を知っておく
安全に使い続けるために、以上の点に気をつけ、電子カルテアプリを導入しましょう。それぞれの注意点について、解説します。
利用料の把握
アプリの利用料は、導入する電子カルテのメーカーによって異なります。
電子カルテアプリが使えるのは、クラウド型の電子カルテです。アプリの使用を検討している場合は、導入コストとは別にアプリの利用料についても確認しておきましょう。アプリの利用をオプションで追加しなくても、無料で利用できる電子カルテもあります。長く使い続けるためには、できる限りコストを抑えて導入することをおすすめします。
電子カルテを導入したいけど、導入コストが気になる方も多いかと思います。電子カルテの導入費用を抑えたいと考えている方は「【最新版】無料で使える電子カルテ3選:失敗しない選び方を徹底解説!」で、無料で使える電子カルテや低価格で使える電子カルテを紹介しています。ぜひ、参考にしてください。
情報の漏れを防ぐ
院内や院外のどこでも使いやすい電子カルテアプリですが、情報漏洩のリスクが高まります。
アプリをスマホやタブレットで利用でき、持ち運びが簡単にできるため、端末を紛失しやすくなります。患者へのケアや処置に気をとられ、ベットサイドに置き忘れる、訪問した家で落としてしまうことも少なくありません。
万が一、電子カルテの情報を見られてしまい、他の患者の情報を知られてしまうと、個人情報の漏洩になってしまいます。場合によっては法律にふれることになるので、十分に注意しておくことが必要です。
個人情報の取り扱いについては、厚生労働省の「厚生労働分野における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」にも記載されているので、確認しておきましょう。
緊急時の対応を知っておく
電子カルテを使用する上で、以下のような緊急の場面が考えられます。
- インターネットの回線トラブル
- 地震や火災などの災害
- 停電
想定されるトラブルに関しては、対応マニュアルを作成しておくと、大きな混乱が起きることを防げます。また、サポート体制がある電子カルテアプリを導入することも検討してみるのもよいです。メーカーによって、サポート体制や料金が異なるので、導入前に確認しておきましょう。
突然のトラブルによって、現場は混乱することが予想されます。混乱をできるだけ抑えるために、普段より考えられるトラブルに対して、対応を決めておくことが重要です。
【まとめ】電子カルテアプリの導入で業務を効率的に!
本記事では、おすすめの電子カルテアプリについて紹介しました。メーカーによって、機能やサポート体制、料金が異なるので、施設に合ったものを選ぶとよいでしょう。
紙カルテでは、記載することに時間や手間がかかります。また、保管場所の確保も必要になり、手元にカルテが必要になったときに取りに行く労力もかかります。
電子カルテアプリを導入することで、大幅な業務改善が期待できるでしょう。リアルタイムに情報を入力・共有することができるため、患者への対応が素早くできるようになります。また、予約から会計まで一元化して管理できることで、事務的な作業も減らすことが可能です。さらに、アプリに搭載されてるAI機能は、診療を正確におこなうための補助となり、医療格差の是正にも期待されます。
電子カルテのアプリに慣れるまでは時間がかかるかもしれません。しかし、業務の効率化や医療の質の向上につながります。この記事を参考に、自施設へ電子カルテアプリの導入を検討してみてはいかかでしょうか。